「平和」

「平和」

 福岡県岡垣町では、1986年に核兵器廃絶平和の町宣言を行いました。2010年2月には、広島・長崎両市が主宰する「平和首長会議」に加盟し、日本をはじめ世界の自治体と連携し、 平和推進活動を行っています。「平和」について考え、平和を願う機会を持つため、毎年度、宣言に基づき核兵器廃絶に向けた取り組みを実施しています。今回は、RKBアナウンサーに よる朗読に加えて、岡垣町5小学校の小学生13人が岡垣ふれあい文化塾『さんりん舎』の指導により発表を行います。皆さんに「命の尊さと平和のメッセージ」を伝えていきたいと、いう 企画の基に岡垣町・岡垣町教育委員会・(公財)岡垣サンリーアイ文化スポーツ振興財団・RKB毎日放送(株)の主催で、このイベントを行いました。

                       非核三原則と非核宣言発表都市                       

 非核三原則は「核兵器を製造しない 核兵器を持たない 核兵器の持ち込みを認めない」という、日本の国としての重要な方針。 

 1960年当時、アメリカとソビエト連邦(今のロシア共和国)の対立が激しく、互いに核兵器の開発に力を入れていた頃「日本も核兵器による攻撃を受けるかも知れないから、日本も 核兵器を持つべきだ」という意見が多く発表されました。この考えは、今でも世界の国々の間で採用されています。そうすると、お互いに核兵器によってめちゃめちゃになってしまうから、 核兵器を使わないようにしよう、という理論です。現在も、核攻撃に対しては、核による反撃能力、つまり核抑止力を持つことが国際的に有効な回避手段とされています。 

 しかし、日本国政府では、1955年の参議院商工委員会で「核兵器を作らない」という考えが合意され、1957年の衆議院本会議で「核兵器を持ち込ませない」という原則が確認されました。 そして、1967年の衆議院予算委員会で、当時の佐藤栄作総理が、日本は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を示し、翌1968年施政方針演説で表明しましたが、当時の 世論調査では、非核三原則に対する賛成の意見は殆ど見受けられませんでした。以来、日本の歴代総理は、施政方針演説などで、この非核三原則を固く守ることを表明しています。 こうした国の方針を受けて、それぞれ「非核宣言」を発表する市町村が増えてきました。現在、非核宣言を発表している市町村は全国で1579、福岡県では岡垣町や福岡市・北九州市など61の市 町村が非核都市宣言を行っています。 

                       ごあいさつ                      

                       岡垣町長 宮内 實生                       

 岡垣町では、1986年に「核兵器廃絶平和の町宣言」を行い、2010年には、広島市・長崎市が主宰する「平和首長会議」に加盟し、毎年平和事業を実施するなど平和推進活動を行っている。 今年は、5月に町内の小学6年生13人が長崎市の城山小学校や原爆資料館などを訪れ、被爆直後の写真を見たり、原爆の熱で焼け焦げた瓦などを触ったり、被爆者の体験談を聴くなどして、核兵器の 恐ろしさや平和の大切さについて考える貴重な体験をしました。それから2か月間、岡垣ふれあい文化塾「さんりん舎」のサポートを受けながら練習を重ねて、まとめあげた平和への思いを一生懸命 に伝えます。また本日は、RKB毎日放送アナウンサーによる朗読もございます。皆様にとって、核兵器廃絶と世界平和について改めて考える機会になることを祈っています。最後に、この事業の開催に あたりご尽力を賜りました関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。 

                  (公財)岡垣サンリーアイ文化スポーツ振興財団 理事長 滝 純一                       

 この町は、1986年に核兵器廃絶平和の町を宣言しました。そして7年前(2007年)より、岡垣サンリーアイは、町から委託事業として平和事業企画に取り組んでいる。昨年より「岡垣町から戦争のない・ 核兵器のない・平和な世界を築こう」というテーマを決めました。そして、発表する子どもたちは、毎年このテーマをどのように具体的なメッセージとして発信したらよいか、懸命に考えています。 今年は、サンリーアイにお招きした被爆した方の体験談を聞きました。長崎では7歳の時被爆した方から話を伺い沢山の資料を見、核兵器や戦争の恐ろしさについて多くのことを学びました。そして発表します。 この発表には「さんりん舎」の皆さんの大きな手助けをいただきました。また今年もRKBの臨場感いっぱいの朗読を披露していただきます。最後に、この企画が「核兵器のない平和な世界」に一歩でも近ずくこと になりますよう祈念して、ごあいさつといたします。 

                       RKB毎日放送(株) 代表取締役社長 井上 良次                       

 今年もRKBアナウンサーによる朗読をお届けできることを嬉しく思います。日々、TVやラジオを通じて、痛ましい事件、事故、災害などのニュースを報道する度に心が痛みます。視聴者や聴取者のみなさんに 平和で安心して暮らせるよう命の大切さや平和の尊さを伝えられるよう日々の放送や番組作りに取り組んでいます。今年も、岡垣町の小学生が長崎を訪れ、実際に原爆で被爆された方にお話を聞くなどさまざまな 体験を通して学んだ事を朗読や劇にして発表し、平和実現に向けたメッセージを送ります。自分の足で情報を収集し(取材)、それを基に考え(構成)、発表(放送)することは、私たち放送に携わる者として、表現する 点で相通じるところがあります。今年もRKBアナウンサーが「朗読」を通じて自分たちの思いを表現します。この交流が「戦争とは?」、「平和とは?」を考えるきっかけになればと考えます。そして、岡垣町から 「平和の輪」を広げるお手伝いをさせていただければと切に願っています。 

                  岡垣ふれあい文化塾『さんりん舎』(協力団体) 会長 山本 徹                       

 今夏も『さんりん舎』は、岡垣町の「核兵器廃絶平和の町宣言事業」に参画させていただきました。5月に子どもたちと長崎を訪ね、共に爆心地に立ち69年前と同じ長崎の空を仰ぎました。子どもたちは 原爆資料館の展示物や被爆体験者の話を通して長崎が訴える怒り、悲しみ、慄きを、それぞれの感性で受け止め、同調し、原爆の悲惨さを知り平和を考えるきっかけを掴みました。この事業を通して子どもたちは 「核兵器廃絶の訴えを世界に届けよう」との思いの下、その方策を繰り返し考え、それをまとめて本日を迎えました。この間さんりん舎会員は微力ながらもサポートしてまいりましたが、私どももまた平和への 想いを新たにしたところであります。命を尊び、平和を維持し継続するために、種々の問題とどう向き合うのかを考えたのは有意義なことでありその想いを未来へ持ち続け、後々まで伝えていって欲しいと願って います。 

                       2014/08/03 (SUN) 岡垣サンリーアイ・ハミングホール                       

                       プログラム                       

   第1部   RKBアナウンサーによる朗読        

      「ヒロシマのいのちの水」…(指田 和/文)       

         「焼けあとの、おかしの木」…(野坂 昭如/原作 水谷 明子/文)      

       朗読:茅野 正昌、本庄 麻里子、櫻井 浩二、福田 典子       

   第2部   岡垣町の小学生13人による発表      

       「写真で伝える長崎の被爆と平和の大切さ」      

       「長崎の愛」…(参考本/「あの夏の日」葉 祥明、自由国民社)      

       「私たちの知らない戦争と平和」      

       協力:岡垣ふれあい文化塾『さんりん舎』      

          山本 徹、白井 誠治、加来 敏恵、川頭 幸子、木村 和美、小山 千紘、      

          佐藤 文信、服部 治之、広渡 英一、二又 妙子、宮本 新一          

   第3部   みんなで一緒に歌いましょう!!          

        1. この星に生まれて   作詞/作曲 杉本 竜一        

        2. つばさをください   作詞:山上 路夫 / 作曲:村井 邦彦       

        3. ふるさと       作詞:高野 辰之 / 作曲:岡野 貞一        

                      手話通訳:岡垣手話の会              

               RKB アナウンサーからのメッセージ               

               茅野 正昌 さん               

 昭和2年生まれの父が、かって海軍の訓練所に通い訓練を受けていたいう話をしていたことを思い出します。これから戦地へという矢先に終戦。もし更に戦争が続いていたら、私は生まれていなかったのかもしれ ません。悲劇は二度と繰り返してはなりません。岡垣町から全国へ発信し続けましょう。 

               本庄 麻里子 さん               

 今の日本は平和。どこかで戦争がおきていても、遠く離れたところ…本当にそうでしょうか?毎日のニュースをみていると、不発弾の発見や処理、武器輸出や集団的自衛権の問題…決して遠いものでも昔のものでもない。 ひとりひとりが、いま、「平和」について真剣に考えなければいけない、と思わされます。 

               櫻井 浩二 さん                

 今回朗読する作品の中には、かなりリアルな描写のものも含まれています。69年前の悲劇を知り、その悲惨さを、朗読を通して伝えていくことは、私たちアナウンサーが出来る数少ないことの一つです。現在と未来の 平和を守るため、今日の朗読で忌まわしき過去を知ってもらえればと思います。 

               福田 典子 さん                

 「家族とごはんを食べる。友達と外で遊ぶ。学校で勉強をする。」そんな当たり前の毎日は、みなさんにとってどんな時間ですか?次の瞬間には、大切な家族も友達も宝物も、失っているかもしれません。そう考えてみると、 みなさんの居間はどう見えますか?作品を通して、「平和」や「命の尊さ」を一緒に感じることができたらと思います。 

               岡垣町の小学生13人からのメッセージ               

◎ ぼくは、げんばくというのはおそろしくこわい物とわかりました。だから平和につながることをしたいです。 

◎ 人の命を一瞬で奪う原爆のおそろしさをしらない多くの人たちに、伝えていけたらいいです。 

◎ 私は、長崎の地へ行って、原爆のおそろしさを学びました。そして今日、平和の尊さをしっかり伝えたいです。 

◎ 私は、長崎に入って原爆のおそろしさについて学びました。核兵器のない世界を目指して行動を起こしたいです。 

◎ 今の平和の長崎は、つらい原爆をのりこえたたまものです。この長崎のことを私は平和授業で伝えたいと思います。 

◎ みなさんは戦争が終わったと思いますか?私はちがうと思います。世界では、いろいろな所で戦争が続いています。 

◎ この平和学習で、改めて、げんばくのおそろしさを知りました。そのげんばくのおそろしさを伝えたいと思います。 

◎ 命の大切さや友達の大切さが平和学習で分かりました。そして生きている事がとても幸せに思えてきます。 

◎ 私は、核兵器をなくし平和な世の中にするために平和学習で学んだこと、感じたことを伝えます。 

◎ なぜ、原ばくというのが生まれたのでしょう。ほとんどの人が、そう思っています。ぼくは、平和を目指しています。 

◎ 私は、この事業で平和についてもっと大切にしようと思うようになりました。みなさんも、平和を大切にしませんか。 

◎ あなたは今、何気なく生活していませんか?すべてに対してあたりまえだと思うのはまちがいです。 

◎ 私たちの発表を聞いて原爆のことを知ってください。そして、どうすれば平和になるかいっしょに考えてください。 


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               <広島型原子爆弾の模式図>               

                長さ:約3メートル(120インチ)               

                重さ:約4トン(9,000ポンド)               

                直径:約0.7メートル(28インチ)               

                主体:ウラン 235               

               濃縮ウランを用いた砲弾型 リトルボーイ               

 広島型は、細長い形をしていたので「リトル・ボーイ」と呼ばれ、核分裂物質としてウラン235が使われていた。このウラン235は臨界量より少ない量の二つの固まりに分けられている。一方の固まりが火薬の爆発力によって他方 の固まりにぶっつかることで、一瞬のうちに臨界量に達する(ガン・バレル(砲弾型)方式)。 


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               <長崎型原子爆弾の模式図>               

                長さ:約3.2メートル(128インチ)               

                重さ:約4.5トン(10,000 ポンド)               

                直径:約1.5メートル(60インチ)               

                主体:プルトニウム 239               

               プルトニウムを用いた爆縮型ファットマン               

 長崎型は、広島型に比べてずんぐり丸みのある形をしていたので「ファット・マン」と呼ばれ、核分裂物質としてプルトニウム239が使われていた。このプルトニウム239を臨界量に満たない固まりに分けて球形のケースに納め、 ケースを囲んでいる火薬の中心部に圧縮し、核分裂を起こさせるようにした(インプロージョン(爆縮型)方式)。 

                       原子爆弾                       


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               原子爆弾による長崎・広島の被害を比べると               


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