小品⑬

小品⑬

                       セ ン リ ョ ウ                       

     センリョウ科の常緑低小木。林内生育。冬に赤い実(果実)を着ける。美しいから栽培することが多い。分布は南関東~九州・沖縄まで、比較的暖かい常緑樹林下に 自生している。高さは、50~100cm、葉は対生、花は黄緑色で7~8月に咲き、茎の先に穂の状態の花序をつくる。また、花被が無。果実は液果で11月頃から赤熟して、翌年の2、3月頃 まで、被子植物であるにもかかわらず、維管束の木部は導管ではない。裸子植物同様の仮導管で作られている。花の構造の特殊性と共に、この植物は原始性を有している。果実から 判断すると、マンリョウ・ヤブコウジの仲間と思うが、花を見ると、ヒトリシズカ・フタリシズカの仲間であるのだ。     


<a>

<b>

<c>

<d>

<e>

<f>

<g>

                       二 シ キ ギ                       

     ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木、庭木が多い。日本・中国に自生する。紅葉が見事で美しい。モミジ、スズランの木と共に世界三大広葉樹である。葉は対生で細かい 鋸歯があり、マユミやツリバナよりも小さい。枝葉は密に茂る。初夏に四弁で、緑色の花を多数着ける。目立たない。果実は楕円形、熟すと果皮が割れて赤い仮種皮に覆れた小さい 種子が露出する。これを鳥が食べる。なお、紅葉を美しくするには、日当たりの良好な場所。     


<h>

<i>

<j>

<k>

<l>

                       サ ザ ン カ                       

     ツバキ科の常緑広葉樹。秋の終わり頃から冬にかけての寒い時期に開花。野生の個体の花の色は、部分的に淡いピンクを交えた白い色に対して、園芸品種の花色は、赤 や、白や、ピンクなど様々。これを、漢字表記すると、「山茶花」。これは、中国語でツバキ類一般を指す「山茶」に由来している。サザンカの名は山茶花の本来の読みである 「サンサカ」が訛ったもの。分布 : 山口県、四国南部から九州中南部、屋久島から西表島。台湾、中国、インドネシアなど。なお、ツバキ科の植物は、熱帯~亜熱帯に自生して、 日本は自生地としては北限に当る。サザンカの栽培品種には、①サザンカ群 ②カンツバキ群 ③ハルサザンカ群。     


<m>

<n>

<o>


<p>


<q>

                    イ ロ ハ モ ミ ジ                    

     モミジの赤色は色素「アントシアン」に由来。アントシアンは春~夏にかけての葉には、存在しない。秋に葉に蓄積したブドウ糖や蔗糖と紫外線の影響で発生。果実や 花の赤、青、紫を表現する水溶性色素である。葉は長さ 3.5~6cm、幅 3~7cm、掌状に深く5~9裂する。「いろは…」この裂列を数えて付けた。裂列片の縁には、鋭く不揃いの重鋸歯 有。裂片の先は長尾状に伸びる。10~12月には、黄褐色~紅色~紅葉して散る。葉はオオモミジ、ヤマモミジと類似しているが、1回り小型で鋸歯が租で不揃いも目立つので、区別が つく。     


<r>

<s>

<t>

<u>

<v>

                     盆 栽 の ブ ナ                     

     ●ブナ科ブナ属落葉高木、落葉広葉樹、温帯性落葉広葉樹林主要構成種、日本の温帯林を代表する樹木。別名 シロブナ、ソバグリとある。●高さ30mほど達す。木の皮は、灰白 色。きめが細かく、よく地衣類が着いて、模様のようだ。若い枝は、褐色・光沢有。葉は互生し、楕円形(長・4.9cm 幅・2.4cm)薄くてやや固め、縁は波打つ、鋸歯ではなく、葉脈の所で少し くぼむ感じ。秋は黄葉となり、落葉する。冬芽は褐色の鱗片に包まれ、茎が伸びた後もそれがぶら下がっている。芽から展開した若葉には長い軟毛、後にそれが無毛となる。●雌雄同株、5月 ごろ葉の展開と同時に開花。雄花は枝先からぶら下がった柄先に6~15個着く。全体として房状。雌花は本年枝の上部の葉の脇からしっかりした柄の先に上向きに着く。果実は総苞片に包まれて 10月頃に成熟し、穀斗が4裂し散布。シイの実の表面を少しトゲトゲさせた感。穀斗に包まれた2個の堅実は断片が三角の痩せた小さなドングリのよう。しかしながら、中の胚乳は渋み無し、 脂肪分が豊富で美味。生のまま食べることができる。ブナの古い名前を「そばのき」、ブナの実を「そばぐり」と言う。これは、実にソバ(稜角)⇒古い言葉であって、そんな木、ソバのある栗 (現在 クリ)の意味。タデ科の作物であるソバ(現在:食する蕎麦)の古い名前「そばむぎ」といったのと同じこと。●ブナは生成するに従って根から毒素を出していく。そのため、一定の範囲 に一番元気なブナだけ残り、外の残ったブナは衰弱枯死する。一定の範囲に2本のブナが双子の様に生えている場合有。一つの実の中に2つある同一の遺伝子を持った種から成長したものである。 ●北海道南部、本州、四国、九州に分布、低山の照葉樹林帯、亜高山の針葉樹林帯の間にはブナ林が成立。日本海側の山地と奥羽山脈の背稜近くでは、天然林に近いブナ林が広範囲に広がっていた が、戦後は大規模伐採された。世界遺産登録された「白神山地のブナ林」は、保護運動の抵抗により伐採されずに依って、まとまった天然林としては最後に残ったところである。太平洋側は純粋な ブナ林はあまり見られず、ミズナラなど他樹種との混交林を作る。白神山地以外の広範囲なブナ林として、岐阜県・石川県・福井県・富山県にまたがる「白山」、福島県只見町周辺に、広大なブナ 林を見ることが出来る。(坪田和人著「ブナの山旅」「続 ブナの山旅」による)●ブナの実は多くの哺乳類の食餌として重要である。2003年はツキノワグマが多数里に出てきたことで知られるが、 この年はブナの実を不作だった。しかし、ブナは基本的には毎年不作であり、5~10年に一度豊作になるだけである。さらに、ブナが不作だった2004年には出没例は2003年より少数で、全行的に過去 に例がないほどの豊作となった2005年にはクマの出没が増加した地域と減少した地域とがあった。結果ツキノワグマの出没とブナの豊作・不作には必ずしも相関関係が無いとの説もでている。      


<w>

<x>

<y>