この庭の”説明”
大濠公園日本庭園は、大濠公園の開設50年を記念して福岡県が日本の伝統文化を末永く保存するための文化施設として、1979年 から5年かけて築造した。ここは、日本庭園の伝統的な庭園技法による古典美を基調としつつ、近代性を盛り込んで作庭された築山林泉式 の形態を持つ回遊式。広さは12000㎡で、白壁の築地塀と木々の囲まれた園内には、大池と築山の大池泉庭、曲水の流れ、枯山水庭、数寄 屋造りの茶室と露地庭などが配置され、これらをつなぐ園路によって回遊するようになっている。主景である大池泉庭は、前庭を左に折れ て進んだところにあり、東・南・西の背後に築山を配し、滝石を豪華に組み、池泉中央には中島を浮かべ端正な美しさを漂わせています。 東の築山から流れる「布落ちの滝」は、格調高い滝石組みから流れ落ちる水は清爽な美で、滝囲いの楓は滝の奥深さと色映えを添える。南 と東の築山より落ちる「渓流の滝」は、谷間の美を流水で再現する。下草を配置して風趣に富んだ構成になっている。南面中央には大滝があ る、「二段落ちの滝」、高い峰々から流れ落ちる瀑布を表現している。雄大な眺めは周囲の景石や松、サツキ等の木々と共に、この庭園の 大きな見どころとなっています。中央に広がる大池は大海を意味する。池中の島々は不老長寿のユートピアである神仙島伝説による蓬莱・ 方丈・瀛洲の三島の意図する。池泉を回る園路には、随所に飛び石、石段、石橋や太鼓橋などを設けて庭に変化をもたせ、両側には景石や 松、サツキなどを配置して、散策を楽しくしています。また、左右の築山にはには観賞と憩いのための四阿を設けています。大池の水は、 西北端の太鼓橋から北に流れる渓流となり、岩山の林の中を二条に分かれ、一つは激しく、一つは緩やかに流れ小池へと注いでいます。この 流れは、王朝時代の曲水の庭を基調に造園されて、せせらぎに耳を傾けながら静かに散策する所。小池の西側には、白い築地塀を背景に 美しい色調の椎葉石を配した「枯山水庭」があり、前面の白砂は水を、背後の石組は遠山を表現。園内には、黒松・樫の木・楓・楠・サツキ・ ツツジ・アセビなどの多彩な植栽が行われ、春から初夏にかけての新緑とサツキ・ツツジなどの花木、夏の深緑と秋の紅葉など、四季が織りなす 風情を楽しむことが出来る。
日本の庭:特徴
寺院、大名屋敷の庭園、政治家・実業家の邸宅、公共施設、ホテル、旅館の敷地等に贅をつくして造園している。庭の構成要素として は、池を中心にして土地の起伏を生かす。築山を造り、四季折々に観賞できる景色を造園する。大きな石を立てたり、石組み表現したり、宗教 的な意味を持っているものとして示しているものもある。また、庭園内に、灯籠、東屋、茶室、枯山水用式の庭(禅宗の思想)であったり、江戸 期以降になると借景の庭園も登場してくる。「見立て」とはメタファー発生装置なるもの:自然をメタファーとして表現して、「見立て」によって 縮景をおこなう作庭方法など、いろんな特徴を持っている。