POSTCARD XI
POSTCARD XI
尾張 徳川家の至宝
尾張徳川家は、家康の九男・義直(1600~1650年)を初代とする御三家の筆頭の名門大名・<名古屋城>が居城。江戸時代を通して、徳川将軍家に次ぐ家格であった。その
家の歴史・格式を示すのは、大別して表道具と奥道具に分類された。表道具は、大名の禄高や家の格式に応じて置くべき武具・刀剣等と、公の場で用いられる武具類であって、奥道具は、
藩主・その家族たちがプライベートな場所で使った道具でした。「九博」の展覧会にては、太刀や鉄砲などの武具類、茶の湯・お香・能狂言の道具類、和歌や絵画・楽器をはじめとする
教養に関わる品々など、大名家の歴史と格式を示す約230点が有り、なお、国宝「源氏物語絵巻」や国宝「初音の調度」も紹介されていた。
水牛の角をかたどった家康の甲冑
「熊毛植黒糸威具足」
家康所用 桃山時代 16c. 全体に熊毛を植え付け、黒糸で威すような具足。兜には水牛の角を象った後立てをつける。全身真黒の中に、真紅の面貌が鮮やかな印象だ。これは、
家康が用いて、徳川家(尾張)では、別格扱いとされている。
神様になった家康
「徳川家康画像(東照宮大権現像)」
伝 狩野探幽筆 江戸時代 17c. 瑞雲に色どられ、束帯姿で宮殿内の上畳に座る東証大権現像。家康は、天海大僧正をちゅうしんとする側近より神格化され、祭祀は、山王一実神道の
「東証大権現」号が採用。
定家自筆・大宰府ゆかりの書状
「重文 藤原定家書状『山門状』」
家康・義直(尾張家初代)所用 鎌倉時代ー1218年(建保 6) 石清水八幡宮の末社筥崎宮留守の行遍らが、大山寺(大宰府内山にあった神宮寺。)の神人で、船頭の張光安を殺害した。
この事件が発端となった延暦寺衆徒の強い訴えについて、藤原定家が自筆で義弟(公経)に報じた書状。
秀吉・家康、遺愛の花生
「古銅砧形花生 銘 杵のをれ」 名物
秀吉・家康 所用 中・元~明時代 14~15c. 石川貞清という武将が家康との碁の勝負に勝ち、秀吉からもらいうけた。貞清は関ヶ原合戦の時、西軍に味方したが、この花生を家康に
贈って死罪を免れた(伝)。古銅花生の中でも文様のない作が最上の物。
秋の深まりを感じる能装束
「紅・水色段秋草文唐織」
江戸時代 17c. 夕焼けを思わせる紅と澄み渡った大気を感じさせる水色を段とした地に、1色の色糸で菊・桔梗・萩・芒などの秋草を織り出している。夕映えに照り出された秋草の
咲き乱れる様子は、華やかななかに移りゆく自然の寂しさを表わしている。
国宝「源氏物語絵巻」12c. 前半に当時の宮廷で成立した日本美術を代表する現在最古の絵巻。絵画表現と言い、美麗な紙、優美な書であった。その当時の王朝の暮らしの雅美さ
を伝える格調高い逸品で、尾張徳川家に15面の内の2面の公開。
国宝 「横笛」
内容: 夜、激しく泣き出した子どもをあやす、雲井 雁とそれを見守る 夕霧。
国宝 「竹河」(二)
内容: 庭の桜の木を賭けて囲碁をする姫君たちと、その美しい姿を垣間見る 蔵人 少将。
国宝「初音の調度」: 家光の長女 千代姫が1639年(寛永 16)9月に義直の子 光友(尾張 二代)に嫁いだ時に、持参した豪華な調度品。「源氏物語」の「初音」の帳の「年月
を、松に… … … 初音きかせよ」の歌詞の意味を全体の意匠とし、和歌の文字を絵柄の中に埋め込んでいる。日本の蒔絵史上最高の作。
国宝 「初音蒔絵鏡台」
方形、二段の引出し付きの台に柱をたて、鏡を掛ける。引出し内には、鏡巣・油桶・化粧水入・附子箱・白粉入などの化粧道具を収納。
国宝 「初音蒔絵具桶」
貞節の象徴である合貝を納める桶。八角形で同形の台が添い、朱房の紐をかける。二合一対で、婚礼調度の中では最も重要な意味を持っている。
秀吉の危機を救った千鳥の香が
「青磁香炉 銘 千鳥」 大名物
豊臣秀吉・徳川家康 所用 中国・南宋時代 13c.